今週のお題「ケチらないと決めているもの」
歳を重ねるにつれて、「何にお金をかけるか」よりも「何にお金をかけないか」を意識するようになった。
若い頃はとにかく“安さ”に目が向きがちだったが、ある時から考え方が180度変わったんだ。
今、俺が「絶対にケチらない」と決めているものがある。
それは——“香り”と“靴”。
どちらも日々の生活の中でさりげなく、でも確実に、その人の品格や生き方を表してしまう存在だ。
👞 「足元」は人生の語り部
靴には、人生のストーリーが詰まっていると思ってる。
高級ブランドである必要はない。だけど、“手入れの行き届いた靴”は、その人が自分自身と向き合っている証だ。
ある有名な映画監督が言っていた。
「靴を見ればその人がわかる」ってね。
それを聞いたとき、自分の中でスイッチが入った。
それからは、少し値の張る靴でも気に入ったものは迷わず買うようになった。
そして自宅で、ワイン片手にブラシを動かす。
革がしっとりと光る瞬間——それは、なんとも言えない満足感がある。
履きつぶすのではなく、育てていく。
靴と共に過ごした時間こそ、男の深みをつくっていくのかもしれない。
🌿 香りは“見えない名刺”
人は視覚から多くの情報を得るというが、「記憶に残る男」になるために、俺が重視しているのは“香り”だ。
香水、整髪料、洗い立てのシャツの柔軟剤の香り——
どれも、他人の記憶に残る要素になる。
昔、行きつけのバーでマスターに言われたことがある。
「〇〇さんが来ると、すぐわかるんです。あの落ち着いたウッド系の香りで」
—— なんてことない一言だったけど、妙に嬉しかった。
それ以来、自分の“定番の香り”を決めた。
季節や時間帯、行く場所によってほんの少しアレンジを加えるのも大人の嗜み。
たった数滴の香りが、会話を引き寄せることもある。
ケチる理由が見つからない。
それどころか、香りは人生の潤滑油だとさえ思っている。
🍷 価格ではなく“意味”で選ぶ
安物買いの銭失い——よく聞く言葉だ。
でも、それを実感するには少し時間がかかる。
本当に良いものを手にすると、手放せなくなる。
“安さ”に喜びを感じていた若い頃。
そして今、“意味とストーリー”に価値を見出す歳になった。
ケチることは、「妥協」だと思っている。
そして、妥協の積み重ねは、自分の“質”に表れてくる。
だから俺は、香りと靴に関してだけは妥協しない。
それが自分のスタイルであり、人生への礼儀でもある。
📝 おわりに——男の“余裕”は積み重ねから
人は見た目よりも、“纏う空気”で印象が決まる。
その空気は、選び抜いたモノたちと丁寧に付き合っていくうちに生まれるものだ。
だから、俺は今日も靴を磨くし、香りを楽しむ。
—— ケチらない。
それは、自分と向き合う覚悟でもある。
—— 今日もまた、“自分らしく”を歩いていこう。